おいしい日本酒は、それだけで飲んでももちろんいいんですが、料理やつまみと合わせるともっとおいしく味わうことができます。
でも、
「日本酒に合うつまみって何がいいんだろう?」
「相性のいい料理を選ぶのってむずかしそう」
って思っちゃいませんか?
そんな方のために、今回は「このポイントを押さえておけば、きっとあなたも日本酒に合うつまみをかんたんに選ぶことができるようになる」というお話をしたいと思います。
相性のいい日本酒と料理やつまみは、ただおいしいだけじゃなく、それぞれのいいところを引き出しあったりして、1+1が2じゃなくて3になるようなことだってあるんです。
でも、逆にあまりに合わない組み合わせだと、1+1が0.5になっちゃたりすることも・・・
日本酒と料理をよりおいしくするために、まずはこれからお話する基本的なことを頭に入れておいてくださいね。
絶対これっていうものじゃなくていいんです。
むずかしく考えなくてもいいですよ。
目次
日本酒と相性がいい料理やつまみを選ぶポイント3つ
日本酒と料理を合わせる組合せはいろいろあるんですが、まずはこれからお話する基本的な3つのパターンを考えながら選んでみてください。
この3つを基本にして、そこからあなたなりに+αして応用してもらえればいいですね。
さて、その3つのポイントとは、
「似たものどうし」「リフレッシュ」「たすけあい」です。
似たものどうし
日本酒と料理の相性がいい選び方の理由としては、これが一番多いんじゃないかなと思います。
この組み合わせは、それほどむずかしくないので、初心者の方にはとりあえずこれだけでもいいぐらいです。
「似たものどうし」というのは、
日本酒と料理やつまみの味わいや香りの特徴が似ているということです。
「肉には赤ワイン」ってよく言いますが、これは、肉なら何でも赤ワインっていうことでもないんですけど、たとえばデミグラスソースのかかった濃い味わいのハンバーグなんかには、やっぱりしっかりとしたコクのある味わいの赤ワインがよく合います。
これと同じで、旨みのあるしっかりとした濃い味わいの日本酒には、濃いめの味付けの料理が合いますし、軽やかな味わいの日本酒には、うす口の味付けの料理が合うんですね。
また、甘みのある日本酒には甘みを持つ料理を合わせたり、酸味のある日本酒に酸味のある味付けの料理を合わせたりすると相性がよくなります。
ほかにも、香りという視点からだと、フルーティーな香りの日本酒にフルーツを使った料理を合わせるのもいいですね。
フルーティーな香りの吟醸酒に、フルーツを使ったドレッシングをかけたサラダとかは相性がいいです。
さらに、同じ素材を使った料理でも、味付けの仕方で合う日本酒が変わってくるんですよ。
たとえば、白身の魚を使った料理を日本酒に合わせようとすると・・・
刺身で食べるなら、吟醸酒や本醸造酒に多いスッキリとした軽い味わいの日本酒。
醤油を使って煮つけにするなら、純米酒に多いしっかりとしたうまみのある日本酒。
といった感じです。
ただ、ここでちょっとだけ気をつけていただきたいのが、「個性の強すぎるものに気をつける」ということです。
あんこの入った甘いまんじゅうと甘いおしるこの組み合わせだと、ちょっと甘すぎてくどい感じになりますよね。(まあそれが好きな方もいるとは思いますが・・・)
それといっしょで、甘みの強い日本酒と甘い味付けの料理の組み合わせなどは、甘さが際立ってしまってちょっときついです。飲み疲れてしまいます。
また、たとえば濃い味わいがあるといっても、片方だけ極端に濃い味わいというのもあまり良くありません。
片方だけ香りが強すぎるのも避けたいですね。
相手の個性が消えてしまうことになるので。
強い個性を持つ日本酒と料理には、ちょっと気をつけたいです。
似たものどうしの中にも、ある程度のバランスが大切なんです。
「似たものどうし」、まずはこれから始めてみましょう。
リフレッシュ
これも、日本酒と料理の組み合わせでよくあるんですが、「似たものどうし」とは方向性がちがってきます。
「リフレッシュ」というのは、
日本酒が料理やつまみの脂などを洗い流して、口の中をサッパリさせるということです。
焼肉やキムチにはやっぱりビールが合いますよね。
これは、焼肉の脂分やキムチの辛みを爽快感のあるビールが洗い流して、口の中をサッパリさせてくれるということが大きな理由の一つです。
これと同じように、たとえば天ぷらなどの揚げ物に淡麗な味わいの日本酒を合わせることで、口の中の油を適度に洗い流してサッパリさせて、料理もお酒もすすむといった具合です。
この「サッパリ」には、本醸造酒や生酒などに多い軽やかなタイプの日本酒が特にいいですね。
最近は、炭酸を含んだスパークリングタイプの日本酒もよく見かけるようになってきました。
これなんかは、ビールといっしょの感覚で焼肉と合わせてもおいしそうです。
バーベキューパーティーに持って行ったらウケると思いますよ。
また、「リフレッシュ」という意味とは少し違ってきますが、日本酒には、魚介類などの生臭さを抑えてくれる効果があります。
刺身には、ビールじゃいまいち合わないですよね。やっぱり日本酒です。
刺身に日本酒が合う理由は、こんなこともあったからなんですね。
「リフレッシュ」、これも覚えておいてくださいね。
たすけあい
上の2つと比べると、少しむずかしくなってきます。
でも、これも覚えておくと、日本酒と料理の組み合わせがもっと楽しくなってきますよ。
「たすけあい」というのは、
日本酒と料理がお互いの足りないものなどをカバーしあうことで、新たな味わいをつくりだすということです。
日本料理の味付けの基本で「さ・し・す・せ・そ」という言葉がありますよね。
これは、料理に味付けする時に、砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・しょうゆ(せ)・味噌(そ)の順番で入れていくといいというセオリーみたいなものですが、味付けの基本でもあるんですよね。
甘み・塩味・酸味・うまみが合わさっておいしい料理ができあがります。
ところで、日本酒には、甘み・酸味・うまみがあるんですが、塩味がありません。
もちろん塩味が無くても充分おいしいんですが、日本酒に無い塩味を塩味の料理がおぎなうことで、また新しい味わいを作り出すことができます。
塩味の料理は日本酒に合うものが多いです。塩辛とか塩焼の魚や塩味の焼き鳥とかいいですよね。
塩味のものが日本酒に合うのは、相手に無いものをおぎなう「あたすけあい」が、理由の一つなんでしょうね。
「たすけあい」の例をもう少しご紹介します。
たとえば、酢の物などの酸味が強い料理に甘口の日本酒を合わせることで、酸っぱさがおさえられて程よい味わいになったりします。
相手の欠点とまでは言いませんが、ちょっとキツいところを抑えてあげる「たすけあい」ですね。
また、日本酒の香りを引き立たせるために、香りの控えめな料理を合わせるという「たすけあい」の例もあります。
吟醸酒の華やかな香りを引き立たせるために、白いはんぺんなどの香りが控えめであっさりとしたものを合わせたりするということがこれです。
自分は主張しないで、相手を引き立たせるんですね。
「たすけあい」はちょっとむずかしいかもしれませんが、いい組み合わせを見つけた時はうれしいですよ。
いろいろ試してみて、あなたのお気に入りを探してみてください。
プラスアルファでさらにおいしく
さて、日本酒と料理の組み合わせを選ぶ時のポイントを3つお話しましたが、ここからは、3つのポイントに+αをすることでさらにお互いの相性をよくする応用編です。
基本の3つがわかってきたら、こんなことも試してみてください。
味をプラス・チェンジ
日本酒に合わせて、料理の味をちょっと変えてみるということです。
たとえば、辛口タイプの本醸造酒に合わせて、魚の塩焼きを選んだとします。
「似たものどうし」という選び方ですね。相性がいい組み合わせだと思います。
でもこの時、この日本酒にちょっと酸味を感じるなあと思ったら、塩焼きにすだちをしぼって酸味をプラスしてあげるんですね。
こうすることで、さらに「似たものどうし」になって、より相性がよくなってくるといういい例です。
また、同じ天ぷらを食べるにしても、辛口タイプの日本酒と合わせるなら「塩」で食べて、やや甘口の日本酒と合わせるなら「天つゆ」でということもできます。
味をちょっとプラスしたり、変えることで、さらにいい相性になるんですね。
温度をチェンジ
今度は、相手に合わせて温度を変えてみるということです。
やっぱり夏の暑い時には、冷たいものがいいですよね。
冷やっこなどの冷たいものには、冷やした日本酒が合います。
逆に、冬の寒い日には、あたたかい鍋物にあたためた日本酒がピッタリです。
一般的に日本酒は、冷やすとキリっとしてさわやかになって、あたためるとふんわりとやわらかな感じになります。(あまり熱くしすぎると辛口な感じになりますが)
これに合わせて、料理の味わいを変えてみたりするんです。
いまいちかなと思った相性も、温度を変えることで、よくなることもあるんですよ。
冷やして飲んでいたものを、あたためてみたら料理に合ってきたなんていうことも。
少し高度な感じですが、「プラスアルファ」も覚えておいてください。
3つの基本に、もうひと工夫のプラスアルファで、日本酒と料理の相性さらにアップです。
まとめ
日本酒の料理は、まずは3つのポイントを基本にしてください。
「似たものどうし」「リフレッシュ」「たすけあい」
この3つです。
この3つを基本に、味や温度をプラスして、さらにおいしい組み合わせができます。
「正解はこれだけ」というわけじゃありません。
人それぞれの味覚にもよりますし、その時の気温や体調なんかでも味わいは違ってきます。
あまりむずかしく考えずに、あなたなりのいろいろな組み合わせを見つけてくださいね。
「自分が好きな酒が一番いい酒」です。
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